全4曲からなるアラビアンナイト(千夜一夜物語)を題材にした交響組曲。女性不信の王様シャーリアルが何人目かの妃シェエラザードの話の面白さに魅かれ、とうとう千一夜もの長い間毎日聞き続け、優しい妃によって王は残忍な心を消したという説話集をもとに作曲された。
第1曲「海とシンドバッドの船」重々しい出だしにつづいて主題となるバイオリンの美しい響きに続いて大海原のうねり、ささやくようなやさしい調べの交互する中、船がゆったりと進んでいく様が、第2曲「カランダー王子の物語」ゆったりとした曲調はやがてテンポが速くなりオリエンタルな雰囲気からドラマチックな力強さに変わり、この曲の主題がここでも出てくる。第3曲「若き王子と王女」クラリネットが奏でるゆったりしたとてもロマンチックなメロディが心地よい。第4曲「バグダッドの祭り、海、青銅の騎士の岩での難破、終曲」ではもの悲しく、狂おしいような旋律や力強さ、軽やかさなどが入り混じって終盤に向けて駆け抜けていきます。現在残酷な殺戮が繰り返し行われ、世界中を震撼させている中東が舞台のこの物語はリムスキー・コルサコフによってめくるめくような夢の世界に私達を誘ってくれます。
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