静おばあちゃんにおまかせ  中山七里

 「さよならドビュッシー」「おやすみラフマニノフ」「いつまでもショパン」と有名作曲家を題名にしたミステリーで作者は音楽の素養豊かな人かと思い、「ヒポクラテスの誓い」では研修医が法医学教室で変わり者として有名な教授の厳しい指導の下で、遺体の解剖に立ち合い真実を見つけ出すというミステリーでは、解剖学のおかれている立場や解剖する遺体の匂いや凄惨さが伝わってくるような具体的な表現に「科捜研の女」ファンの私としては毎回出てくる解剖の場面がいかにドラマ的だったか感じさせられたのですが、本作品では静おばあちゃんは元裁判官であり、警視庁一課の青年刑事葛城が立ち向かう難事件を孫娘で法律家志望の円から聞いてはヒントを与え解決に導くというストーリーです。

 連続強盗事件が発生したさい、被害者の友人という関係で葛城と円は出会い、彼女のもらした一言が事件解決の糸口になったのを期に彼女の手助け、実際は静おばあちゃんの元裁判官という経験と知恵で数々の難事件を解決していくのですが、最後にあっと驚かされることになります。

 作者がペンネームとはいえ名前から女性とばかり思っていままで何冊か読んできましたが、男性だったのは私にとって驚きでした。


  第一話  静おばあちゃんの知恵 

  第二話  静おばあちゃんの童心

  第三話  静おばあちゃんの不信

  第四話  静おばあちゃんの醜聞

  第五話  静おばあちゃんの秘密 

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