京都で流行していた陶磁器の製造販売を自ら立ち上げようと思い立った絹屋半兵衛は彦根では有名な古着商でした。しかし「やきもの」に関する知識はなく、あるのは意気込みだけでした。窯を作る場所やその製作方法、職人集め、土の選定や資金源など数々の困難を乗り越え豪商藤野家に奉公していた妻留津の助言や知恵もいかしながら「湖東焼」として製作することができました。やがて職人たちの奮闘もあり満足のいく作品を作りあげることが出来てきた矢先・・・。
若き日の井伊直弼(鉄三郎)の藩主の14男で冷や飯食いとして日々暮らす苦悩や半兵衛との出会いも描かれています。
外資系銀行や証券会社の債権ディーラーや外国債券のセールスなどの経験から経済小説を次々に発表してきた作者が初めて手掛けた出身地滋賀(近江)を舞台にした時代小説です。
ある集まりの会で「湖東焼」のマグカップに色付けを体験したことがありました。焼きあがったカップは琵琶湖の色を写したようなさわやかなブルーでしたが、本書で「湖東焼」の歴史を知りました。
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