冬の光 篠田節子 “父の遺体があがった。” から始まったこの物語。父富岡康宏は定年後、老父の介護をして見送ったあと、東北の大震災に巻き込まれ亡くなったと聞かされたかつての恋人笹岡紘子を探しに出掛けた仙台で、多くの死や津波によって破壊された土地、家屋敷を失い避難場所で不自由な生活を強いられている人々を目の当たりにしてボランティア活動に参加し精力的に働いた。その後、特別の決意があったわけではないがある日妻に「四国遍路に行ってくる」と言って車で向かった。その父が無事八十八か所の巡礼の旅を終えた後、帰りのフェリーから行方不明となり、数日後波間に浮いているのが確認されたのだ。24Mar2017現代小説